• 桜 日本心創り・智慧創り研究所

こころつくり・
ちえつくり

古史古伝には、現代の医学では解明できない、
健康に関する多くの智慧が隠されています。
長い年月をかけて先人が培ってきた経験と知識には、
人や地球にも優しい自然の摂理に沿った
健康法として注目されています。
『伝承療法』を取り入れ、
健康維持をしてみませんか

<「新しい年を祝う、いちばん最初の馳走。」>

信仰・文化・家の習慣が詰まった象徴的な意味と
食材一つひとつに込められた願いが込められた料理『おせち』です。

1. 年神様(としがみさま)へのお供え物と「お下がり」
おせちは元々、正月に各家庭へやってくる新年の神様(年神様)にお供えする「節供(せちく)」という料理でした。
神様にお供えした後に、そのお下がりを人間がいただくことで、神様の恩恵やパワーを体に取り込み、 一年間無事に過ごせるようにと願う意味合いがあります。

年神

穀物の実りを司る大年神. 出典: Wikipedia

「年神(歳神)」とは、
古事記に登場する大年神(オオトシノカミ)のことです。 素戔嗚尊(スサノオノミコト)と神大市比売(カムオオイチヒメ)の 間に生まれた男神で、穀物や稲の実りを司る農耕の神様
神話における背景と一族
「トシ」とは古語で「稲の実り」や「穀物」を意味します。 そのため大年神は、毎年お正月に各家庭を訪れて 一年の豊作と家族の健康・幸福をもたらす正月神(歳神様)の 原型となりました。

3. 重箱に詰める理由「めでたさを重ねる」
重箱という箱を重ねて盛り付けるのには、「良いこと(福)が重なりますように」という願いが込められています。 正式には四段重(または五段重)ですが、現代では二段や三段が主流です。

4. 家事から解放される「正月の労い」
おせち料理は煮物や酢の物など、日持ちする料理を中心に作られます。これには以下の実用的な理由もあります。 正月の間は火の神様・水の神様を休ませるため 普段忙しい家事(料理)をする人を正月の三日間くらいは休ませるための料理でもあります。

神棚

現代では家庭で一から手作りするケースだけでなく、百貨店や通販で購入する「洋風おせち」「中華おせち」など スタイルも多様化していますが、「新しい年の始まりを祝い、家族の健康や幸福を願って食卓を囲む」という 本質的な存在意義は今も変わってないのです

<神様と一緒に食事をする「神人共食(しんじんきょうしょく)」とはなに?>

結い箸

神様と一緒に食事をするために使われる箸は、一般的に「祝い箸(いわいばし)」と呼ばれます。
(「結い箸」と呼ばれることもあります)
お正月に使われるこの箸には、両端が細くなっている「両口箸(りょうくちばし)」という独自の特徴があり、 そこには特別な意味が込められています。

1.「神人共食(しんじんきょうしょく)」
両口箸は、片方を「人間」が使い、もう片方を「年神様」が 使うために作られています。 神様と同じものを一緒に食べることで神様の英気や ご利益を分けていただき、一年間の無病息災や幸福を祈る 「神人共食」という古来の思想に基づいています。

2. 反対側を使ってはいけない理由
「片方が自分用なら、もう片方は取り箸(取り分けるための箸) として使えばいいのでは?」と思われがちですが、 それはマナー違反とされています。 反対側は「神様が使う側」であるため、ひっくり返して使うと 「神様の食べる側を汚してしまう」ことになるからです。

結いはし

素材
柳の木で作られる(柳箸)
柳は折れにくく、春一番に芽を出す縁起の良い木であるため新年の祝い事に使われます。

サイズ
末広がり(八寸)
祝い箸の長さは多くが「八寸(約24cm)」で作られ「八」の字が末広がりで縁起が良いとされています。

形
俵箸(たわらばし)
中央が太く丸みを帯びた形が米俵に似ていることから,五穀豊穣を願う意味もあります。

正しい取り扱い手順
・箸袋に名前を書く 大晦日の日に、箸袋に家族それぞれの名前(年神様が宿るお祝いの箸であることを示すため)を書き、 神棚やお仏壇、または食卓にお供えしておきます。(※一家の主人は「主」、子供は名前などを書きます)
・自分専用として松の内(正月期間)使い続ける 祝い箸は使い捨てではなく、元日から「松の内(1月7日または15日)」が 終わるまで同じ箸を洗って使い続けます。
・使い終わった後の処分 松の内が終わったら、感謝を込めて「どんど焼き(お焚き上げ)」に出すか、 ほかの正月飾りと一緒に塩で清めて処分する。

「神様と一緒に新年の最初のごちそうをいただく」という感謝と祈りの道具の『祝い箸』です。

おせち料理を重箱からいただく際のマナーは、「重箱を汚さない・散らかさない」ことと 「年神様へのお供え物として敬意を払う」ことの2つが基本となります。

<和食料理の配置は、「結界(けっかい)」の習慣になっている日本文化>

和食では、「これより先は料理を提供する神聖な(または清らかな)領域である」ことを示す 境界線の役割を果たす道具や配置がマナーになっています。

主に「お箸」や「器の配置」、または「膳の縁(ふち)」が結界として機能しているのです。

朝食

1. 箸(はし)による結界
最も代表的な結界が「お箸」です。
手前と奥を分ける
お箸を膳の一番手前に横向きに置くことで、「手前=食べる人(日常・俗)」と 「奥=料理(神聖・清らか・非日常)」を明確に区別しています。

感謝と結界を解く作法
お箸を手に取り、箸置きから持ち上げる行為は、「結界を解いて、神聖な命(料理)をいただく」という精神的な意味を持っています。

2. 膳(おぜん)の縁(ふち)や重箱による結界
折敷(おしき)や足付きの膳など、料理を乗せる盆、おせちを重箱に入れること、そのものも大きな結界です。

境界線の役割
膳の上の空間は「食事の場」として清められた空間であり、直に床や机に料理を置かないことで、料理を汚さず敬う意味合いがあります。

御膳

3. 器の並べ方(右と左)による結界
和食の並べ方(左にご飯、右に汁物)も、陰陽思想や神道の観点に基づいた空間の区切り(結界)なのです。

左(上位・主)
生命の源である大切な「お米(ご飯)」を置く。

右(下位・副)
汁物やおかずを配する。

御膳における「結界」とは、単なる物理的な仕切りではなく、「作り手や自然の恵み(命)に対する敬意を払い、 清らかな状態で料理を味わうための日本独自の精神的作法」です。 お箸を持ち上げていただく一連の所作には、「結界を越えて料理と一体になる」という文化的な意味が込められているのです。

食事

『いただきます』、『ごちそうさま』は、
「命に対する感謝」「関わった全ての人に感謝」「神様や自然の恵に感謝」をこめて毎食言っている習慣
これは、日本人の魂と精神なのです

古代の日本では、食べ物は神様からの授かりもの(恵み)と考えられていました。 神様にお供えした食べ物や、位の高い人からものをいただく際に、頭の上に掲げる動作を「頂く(いただく)」と 呼んだことが語源となっています。
恵みを与えてくれたことに、感謝を捧げる言葉として古から定着しているのです。

<おせちの始まり>

8世紀頃(奈良時代〜平安時代) 宮中儀式として始まりました。

中国から陰陽五行説 に基づく「節日(せちび)」の思想や風習が日本に伝わりました。 宮中で季節の変わり目に邪気を払い、不老長寿を祈る行事(節会:せちえ)として 行われるようになりました。 5行説

邪気が入りやすい季節の節目ごとに無病息災を祈り、神様にお供えした料理を一緒に食べる 「御節供(おせちく)」が宮中で行われたのが始まりです。

江戸時代(「五節句」の公式制定)1603年〜1867年
江戸幕府(徳川将軍家)が数ある節句の中から特に重要な5つを選び、正式な幕府の式日(祝日)に制定しました。 これにより、武家社会から一般庶民へと広く普及しました。

節句は春・夏・秋・冬(四季)すべてに存在します。江戸時代に幕府が定めた代表的な5つの節句を 「五節句(ごせっく)」と呼び、年間を通して四季折々に配置されています。

1月1日→正月

正月

1月7日→人日の節句(じんじつのせっく)

7草

3月3日 → 上巳の節句(桃の節句)

雛

5月5日 → 端午の節句(菖蒲の節句)

端午

7月7日 → 七夕の節句(笹の節句)

七夕

9月9日 → 重陽の節句(菊の節句)

菊

昔は五節句すべての行事料理を「御節供(おせちく)」と呼んでいました。
しかし時代が下るにつれ、1年の始まりであり、年神様をお迎えする最も重要な「お正月」のお供え料理だけを特別に 「おせち(おせち料理)」と呼ぶようになりました。
今でも節句には「七草粥」や「柏餅」などの行事食が残っており、これらはすべて「おせち料理の親戚」になります。

五節句は、古来中国から伝わった「奇数が重なる縁起の良い日(ただし陽がきわまり陰に転じやすい不吉な日)」に 邪気を祓う宮中行事が起源です。やがて日本の風土や農耕儀礼と結びつき、
日本独自の行事食文化として定着しました。

なぜ2月と4月の節句はないの?
古代中国から伝わった陰陽思想(陰陽五行説)では、奇数は「陽(おめでたい、力強い)」、偶数は「陰」とされていました。 そのため、奇数の月と奇数の日が重なる日が「縁起の良い日(ただし陽が極まるため邪気が入りやすい日)」として 節句に選ばれました。また、11月11日のように「奇数が3つ以上(11月11日)」並ぶものも、古代の 「1桁の奇数の重複」というルールからは外れていたため節句にはなっていません。

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