古史古伝には、現代の医学では解明できない、
健康に関する多くの智慧が隠されています。
長い年月をかけて先人が培ってきた経験と知識には、
人や地球にも優しい自然の摂理に沿った
健康法として注目されています。
『伝承療法』を取り入れ、
健康維持をしてみませんか
こころつくり・ちえつくり
天から授かった"米の息吹"
『米の国本』[後編]
Vol.9
古来より日本人のアイデンティティと深く結びついてきた。
日、水、土、の恩恵は、かけがえのない存在『米』
日本の古書『古事記』では、天孫降臨によって天照大神からさずかった稲で 米が作られ そして日本の礎を築いたと神話で、語られ日本国の始まりになった。
Vol.9
『米の国本』[後編]
江戸の知恵に学ぶ『米活用と健康』サイエンス
縄文時代
到来
vol.1
弥生時代
隆盛
vol.2
古墳時代
信仰
vol.3
奈良時代
伝播
vol.4
平安時代
荘園
vol.5
鎌倉時代
転換
vol.6
室町時代
進展
vol.7
江戸時代
国本[前]
vol.8
江戸時代
国本[後]
本編
明治時代
近代化
<日本人の心と米 — 「いただきます」の深層>
1. 神様を食す:「一粒に七人の神」が教える自然の循環
現代でも語り継がれる「お米一粒には七人の神様がいる」という言葉。江戸時代、この教えは単なる迷信ではなく、 自然のメカニズムへの深い理解と敬意」そのものでした。 ここでいう七人の神様とは、一般に「土・水・風・火・雲・虫・太陽」を指します。
江戸の農村では、
これら一つでも欠ければ米は実らないと考えられていました。
例えば、太陽(火)が強すぎれば水が枯れ、風が吹かなければ受粉ができません。
人々は一粒の米を食べる際、その向こう側にある「宇宙規模の調和」を口に運んでいるのだという実感を、
神様という象徴を通じて持っていたのです。
昔からこのように神様に感謝の気持ちを込めて 一粒も残さ無いで食べましょうという意味で 『いただきます』の習慣ができ、茶碗を持ち上げることで 神様に感謝の気持ちを込めていただくようになりました。 日本の習慣として食事前『いただきす』といい、 お茶碗は持ってたべる。ことが現代まで伝承されているのです。
🔖和食ミニ知識
①手のひらより小さい器は『持つ』
②手のひらより大きい器は『持たない』
③お魚を置いた平皿は『置いたまま』食べる
和食では当たり前のマナーになってます。
2. 神人共食:ハレの日のエネルギー補給
江戸時代、普段は雑穀を混ぜた「糧飯(かてめし)」を食べていた庶民にとって、真っ白な米や餅は、
神事の際だけに許される特別な「聖なる食べ物」でした。
餅や赤飯の力
神様にお供えした後に皆で分かち合う「神人共食(しんじんきょうしょく)」の儀式は、
神の生命力を自分の体内に取り込むことを意味しました。
精神的な健康
共同体で同じ釜の飯(米)を食すことは、心理的な連帯感を強め、厳しい労働に耐えうる
「心の健康」を維持する役割も果たしていました。
3. 感謝の作法、『もったいない』
「いただきます」という定型句こそ定着していませんでしたが、当時の人々は「行動」で感謝を示し、
一粒を拾い、落ちた米一粒を拾い、息を吹きかけて大切に食べる。
米を無駄にすることが「神様(自然の恵み)を捨てること」に直結する
という強い思いがあった。
究極の再利用として、研ぎ汁は植木に、ぬかは洗顔や漬物に。 米から出たものは一滴、一粒たりとも無駄にしない。 この『もったいない』の精神こそが、江戸の循環型社会における健康的なライフスタイルの基盤となっていました。
<究極の機能食品としての「米」>
江戸時代において、米は単なる炭水化物(エネルギー源)ではなく、加工の知恵を加えることで 「保存性」「消化吸収」「栄養価」を極限まで高めた「究極の機能性食品」へと進化していました。
1. 糒(ほしいい):
400年前の「超速攻エネルギー」
糒は、一度蒸した米を乾燥させた、
現代で言う「アルファ化米」です。
機能性
炊く必要がなく、水や湯に浸すだけで食べられます。そのまま噛んで食べれば、唾液と混ざることで
デンプンが分解されやすく、激しい運動(旅や戦)の最中でも即座にエネルギーに変換されました。
健康面
乾燥により菌が繁殖できないため、防腐剤なしで数年単位の保存が可能。
旅先での食中毒リスクを回避する、安全な「モバイルフード」でした。
2. 麹(こうじ):
米を「サプリメント」に変える魔法
お米に麹菌を繁殖させた「麹」は、江戸時代の健康を支えた最大の功労者です。
酵素の力
麹に含まれる酵素(アミラーゼやプロテアーゼ)が、米のデンプンを糖に、タンパク質をアミノ酸に分解します。
これにより、胃腸に負担をかけず効率よく栄養を吸収できる腸内環境を整える発酵の知恵
甘酒(飲む点滴)
江戸のスタミナ源 「米・味噌・梅干し」が成した栄養学的黄金比の甘酒は「夏の飲み物」でした。
夏バテで体力が落ちた際、米のエネルギーを分解・濃縮した甘酒を飲むことで、アミノ酸とビタミンを補給し、命を繋いだのです
3.米ぬか(玄米):
江戸わずらいが教えた「全粒」の価値
江戸っ子が好んだ「白米」に対し、地方の携帯食や農家の食事は、ぬか層が残った玄米や雑穀米が中心でした。
ビタミンB1の宝庫:
白米ばかりを食べる江戸の町で流行した「脚気(江戸わずらい)」に対し、ぬかを含む米は、
糖質をエネルギーに変えるために不可欠なビタミンB1を含んでいました。
デトックス効果:
玄米に含まれる豊富な食物繊維は、腸内環境を整えるだけでなく、体内の余計なものを排出する役割も果たしていました。
<旅を支えた「携帯術」と「機能」>
1. 竹皮(たけのかわ):天然の「真空パック」と抗菌力
おにぎりを包む竹皮は、現代のプラスチック容器を凌駕するほど、移動食に適した性能がありました。
天然の防腐剤
竹皮に含まれる「ポリフェノール」や「安息香酸」といった成分には強い抗菌作用があります。
冷蔵庫がない時代、炎天下を歩く旅人にとって、お米が傷むのを防ぐ機能は生死を分けるほど重要でした。
呼吸するパッケージ
適度に水分を吸収し、外気を逃がす通気性があるため、ご飯が蒸れて腐敗するのを防ぎつつ、
乾燥して硬くなるのも抑えるという、理想的な湿度管理を自動で行っていました。
2. 食中毒を防ぐ知恵、梅干しと味噌玉で疲労回復
梅干しの相乗効果
竹皮の抗菌力に加え、梅干しのクエン酸がさらに菌の繁殖を抑えました。
また、クエン酸は運動による乳酸の蓄積を抑え、疲労回復を早める「機能性関与成分」として旅人の筋肉を支えました。
味噌玉の電解質
味噌を丸めて焼いた「味噌玉」は、お湯に溶かせば即席のスープになります。
発酵食品として腸内環境を整えるだけでなく、歩行で失われる塩分(ナトリウム)を補給する、
現代のスポーツドリンクのような役割を果たしていました。
3. 究極の環境性能(ゼロ・ウェイスト)
江戸の携帯術は、地球環境に対しても完璧な答えを出していました。
超軽量化の工夫
1日40km歩く旅人のためのエネルギーパッキング

わらじ

柳行李(やなぎごうり)

竹皮
土に還る素材
竹皮も柳も木綿の風呂敷も、すべて天然素材。
古くなれば堆肥(肥料)として土に還り、再びお米を作るための栄養となりました。
多機能性
包んでいた竹皮は、食べた後はそのまま捨てても良いですし、
乾かせば次の旅の草履(ぞうり)の補修材としても再利用されました。
道具と食が一体化した「モバイル・ヘルスケア」 江戸時代の携帯術は、「重さを削り、菌を抑え、体力を戻す」という旅の三大課題を、 自然素材の組み合わせだけで解決していました。
<米の流通がもたらした健康と文化の多様性>
明治末から大正期に撮影した北前船(井田家旧蔵古写真・福井県立若狭歴史博物館蔵)
Iida Yonezō 井田米蔵 (1887~1968) (photographer) - https://www.kitamae-bune.com/about/main/,
パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=92429802による
旨味が変えた米の質
北前船は単に米を運ぶだけでなく、日本各地の「食のパズル」を完成させる役割を果たしました。
出汁(だし)と米の出会い
北海道から運ばれた「昆布」が大阪や江戸に届いたことで、お米の調理法は劇的に進化しました。
昆布のグルタミン酸とお米の甘みが合わさった「お粥」や「炊き込みご飯」は、単なるエネルギー源を超えた美食へと昇華されました。
ミネラルの補給
海藻類が全国に流通したことで、内陸部の人々もヨウ素やミネラルを摂取できるようになり、
食生活の栄養バランスが向上しました。
米は単なる食べ物ではなく、神様から預かった大切なエネルギーであり、 知恵を絞って使い切るべき宝物でした。










