『茶の湯 健康の智慧』
🌱日本独自の『茶の湯』文化の礎
心の健康に役立つ
Vol.3
・海人藻芥
・「侘び茶」の祖
・茶の湯は心の健康に役立つ
茶の湯文化は、心の健康に役立つ多くの利点を持つ伝統文化です。
日常生活に取り入れることで、ストレスを軽減し、リラックス効果を得ることができます。
また、集中力と注意力向上、五感を研ぎ澄ます、感謝の気持ちと謙虚な心を育む、
人間関係の改善、自分自身を見つめ直すといった効果も期待できます。
茶の湯文化に興味がある方は、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
・海人藻芥
・「侘び茶」の祖
・茶の湯は心の健康に役立つ
<Vol.3>
日本独自の『茶の湯』文化の礎
心の健康に役立つ
日本独自の茶の湯文化の基礎
薬として扱われた茶が日本独自の文化として室町時代ごろからアップデートされていきます。 『海人藻芥(あまのもずく)』茶礼書では武家や朝廷での儀礼や精神修行方法が記載れてます。 別に「侘び茶」を唱えた珠光(じゅこう)によって『庶民』にも浸透していきます。 性質の異なる2つの茶事が融合して現代の「茶の湯」文化の基礎になっていきます。
『海人藻芥(あまのもずく)』上流階級の茶事
1420年『海人藻芥(あまのもずく)』には、(恵命院権僧正宣守という僧が著者)武家や朝廷の儀式礼、儀作法、装束、 年中行事などに関する知識を網羅しており、当時の社会の様子、文化を知る上で貴重な資料となっています。
恵命院宣守『海人藻芥 3巻』,銭屋五郎兵衛[ほか1名],
元禄7 [1694].
国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/2536613
(参照 2024-05-04)
武家における茶の湯は、簡素で実用的な形式で 行われており、戦の精神を養い、心を落ち着か せるための手段として重視されていたことが 窺えます。また、茶の湯は武家社会における重要な 社交の場となり、武家同士の交流を深める役割を 果たしていました。
「あまのもずく」武士の茶の湯作法
1. 茶の湯の時期
正月:新年の挨拶の際に茶を振る舞う。
武家正月(4月):武者揃えの後、茶を振る舞う。
花見:花見の宴席で茶を振る舞う。
その他:客人をもてなす際や、戦勝祈願など様々な場面で茶を振る舞う。
2. 茶の湯の形式
武家茶の湯は、簡素で実用的な形式で行われる。 茶道具は簡素なものを使用し、華美な飾り物は避ける。 茶の点前は簡略化された形式で行われる。
3. 茶の湯の精神
武家茶の湯は、戦の精神を養い、心を落ち着かせるための手段として行われる。 茶の湯を通じて、主客間の和合を図る。
4. 茶の湯と武家社会
茶の湯は、武家社会における重要な社交の場となる。 茶の湯を通じて、武家同士の交流が深められる。
「侘び茶」の基礎となる精神を見い出した
庶民派『茶祖』田村珠光(じゅうこう)
By Unknown author - http://teeweg.de/, Public Domain,
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珠光(じゅこう)1423~1502)は 「茶の湯」の始祖で「茶祖」とも呼ばれる。 珠光の時代は、舶来品を愛でながら茶を楽しむ豪華な茶会 (殿中の茶)が中心でしたが、珠光が見いだした「新しい茶の湯」 の精神『侘び茶』が、珠光の死後も弟子に受け継がれ、 やがて今日の茶道へとつながっていくのです。 室町時代中後期の奈良にいた僧侶です。伝承では、 11歳の時に奈良の称名寺(しょうみょうじ)に入ったが、 20歳前に出てしまった。その後、応仁の乱のころに奈良に 戻ったけど、遁世(とんせい)(俗事とのかかわりを絶つ) となって奈良東大寺転害門近くに、草庵(そうあん)を結び ひっそりと暮らされ、晩年は京都で暮らし80歳ぐらいで終生した。茶祖人です。
一休宗純
By
Bokusai - English Wikipedia, originally uploaded there by User:Vuvar1
on 4 July 2005., Public Domain, Link
珠光は、「一休さん」として有名な禅僧で一休宗純(そうじゅん) からも大きな影響を受けています。 禅僧・一休宗純は、 自由を追い求め、反骨精神にあふれ、テレビアニメでもお馴染み、 とんち話で有名な『一休さん』権力が大嫌いで、持ち前の頭の良さで、 権力者をやりこめます。変わった言動が多く、 数々の逸話が一休話として残されている僧でした。 珠光は、「無駄を排する禅の教え」や「何ごとにもこだわらず、 本質を追い求める心」を一休の「禅」から学んだのです。
珠光が唱えた『侘び茶』とは
茶道具
唐物(中国からの輸入品)だけを良しとした風潮に対し、日本の焼物のもつ素朴な美しさにも関心を寄せることが 肝心だと主張し、2者の良いところを融合し新たな美意識として茶の湯の世界にもたらしました。 そんな珠光が残した茶道具は「珠光名物」と呼ばれ、そのうちの1つの茶碗を100年後の千利休が使用していた との逸話も残されています。
茶を点てる場所
「月も雲間のなきは嫌にて候(光輝く満月よりも、雲の間に見え隠れする月の方が趣があり良い)」という言葉からは 「不足の美」を良しとする、「新しい茶の湯」の世界。この美意識は茶室を作る際に、珠光は茶室を四畳半という狭い空間に 区切り、装飾を排することで現れる美を目指したのです。
茶は「心」でいただく
禅の影響を受けた珠光は「物を極限まで排することで現れる美」禅の精神を取り入れ追究しました。そして、 物の不足を「心の豊かさ」で補い、心をコントロールし自分自身と対峙する「精神修行の場」とすることを目指したのです。 形式や儀礼よりも、心の交流を大切にするものが「わび茶」なのです。
珠光は、さらに礼式に拘らずシンプルに楽しむ
『地下茶の湯』を庶民に広めるきっかけも作りました。
『地下茶の湯』とは、
室町時代後期から戦国時代にかけて盛んになった、
茶道の様式の一つです。書院茶と呼ばれる上流階級の
茶道とは対照的に、庶民たちが土間の炉端で茶を楽し
んだことから地下茶の湯こう呼ばれています。『わび茶』
の始まりの祖と呼ばれ庶民に茶が広まるきっかけを
珠光は作った人です。
『茶の湯』は心の健康維持に欠かせないものなのです。
単にお茶を飲むという行為を超えて、日本の美意識や精神文化を体感できる『茶の湯』に
発展するまでは(珠光の弟子)武野紹鷗(利休の師)
そして千利休で確立していきます。
侘び寂び:
簡素で質素な美しさ、
不完全なものの中にこそ
真の美を見出すという考え方。
和敬清寂:
和:調和、敬:尊敬、清:清らかさ、寂:静寂。
茶室の空間や所作にこれらの精神が表れる。
一期一会:
唯一無二の出会いを大切に、心を込めてもてなす精神。
人々が生き方や人間関係を考える上で参考となる古来からの言葉です。 心の健康には必要なのです。
茶道の理念
和敬清寂(わけいせいじゃく)とは、
茶道の精神を表す四字熟語です。
千利休によって提唱されたとされ、
茶道の根本精神とされています。
和(わ): 主客が心を和らげて仲良くすること。
敬(けい): 主客が互いに敬い合うこと。
清(せい): 茶室の品や雰囲気を清浄にすること。
寂(じゃく): 心の静けさや悟りの境地のこと。
和敬清寂は、茶道だけでなく、日常生活にも活かせる考え方です。 日々の生活の中で、和敬清寂を意識することによって、 より豊かな時間を過ごすことができると思われます。
『茶の湯』は、精神文化であり、生活様式でもあります。
茶の湯を通して、日本の美意識や精神文化に触れ、
自分自身を磨くことができ心の健康に繋がるのです。
2024/5/30更新
次回 Vol.3 お茶にまつわる生活様式のご紹介